遊び場面において自己の主張を通すために用いられた方略に焦点をあて、幼児期に獲得できているコミュニケーション能力について明らかにすることを目的とした。1歳児クラスの男児Kが、自由遊び時間において自然に形成されたコミュニティの中で、自己の主張を通すためにとった言動について、参与観察及び保育者連絡帳に記載した内容から得られた事例を基に分析を行った。それぞれの事例において、Kは自身の目的を達成するために、他者の意識を逸らすための交渉を行っていた。1歳児クラスのコミュニティの中においても、自己ではなく意図的に他者をコントロールし、葛藤を解決しようとする行動が確認された。