書評:佐藤貴史著『ドイツ・ユダヤ思想の光芒』(岩波現代文庫、2015 年)
アテネとエルサレム―人間理性と神の啓示を象徴する2つの都市のはざまで、近代ヨーロッパ思想史とは異なる系譜を辿ったドイツユダヤ思想。ニーチェ、ブルクハルト、ブーバー、ショーレム、コーエン、スピノザ、ローゼンツヴァイク、シュトラウスらの系譜から理性・啓示・アイデンティティをめぐる葛藤とその遺産をたどる。書評では、筆者が立てた問いに対して、答えは書かれているもののその立証法が不十分である点を指摘した。