この年出版された二つの聖書翻訳に関する本「聖書翻訳者ブーバー」「ヒエロニュムスの聖書翻訳」を合同合評した。評者に対して、筆者がその場で学術的返答をした。申請者に対しては田島卓氏から批判を受け、それに応答した。争点となった議論は、ブーバーには神は現臨しているという発想があるが、苦難の中で祈れども神は沈黙するアウシュヴィッツの状況に応えられないという点と、神の言葉との出会いが翻訳の目標である限りそれはどのように保証されるのかという点である。