ワークショップ講師。セラピストは、箱庭・夢・描画などのイメージ表現に立ち会い、変容に気づき、意義を
考える人である。「私」の境界を作る作業とともに生まれた動き等、心理療法における表現に注目した。断片的で分かりにくく、散在する空間の夢しか伝えられなかった人が、ある時の夢に曲がり角の向こうに亡くなった母を描き出した。空間はまとまり、中心には自分が立っていた。この 2 例から、「空間」と「私」感覚がともに構造化する経過を考察し、イメージ表現による心理療法の機序を、「向こう側」という概念を手掛かりに理解を深めた。