心理療法では、セラピストはクライエントの心の動きを感受し、夢や箱庭、描画などのイメージをともに味わいながら、話を聞くことが求められる。それはセラピストにとって決して受動的な営みではなく、言葉を返し、問いかけ、関心を向ける能動的・主体的な営みではあるが、あくまで伴奏的・合いの手的なものである。一方、セラピストの能動的なコミットがクライエントの「私」の誕生や転回に不可欠な場合があることもわかってきた。それは、どのような能動性なのだろうか。そこで本分科会では、「する/ある」「しない/いない」を軸にセラピストの能動性について考えてみたい。