本書は、「教育」を「文化遺産の伝達」の営みとして捉え,学校・家庭・社会が次世代に何を伝達するべきかを問う教育原理論・カリキュラム論である。同書ではプラトン、ルソーらの教育思想が吟味されるとともに、少年犯罪・家庭崩壊といった現代的問題が議論の対象となる。その上で「教育=文化遺産の伝達」には「価値ある文化の伝達」と「伝達してはならない部分の非伝達/教育」とがあることを示す。また、伝達の担い手としては「学校」を含めた「教育エージェント」という概念を提示し、その役割を明らかにしている。監訳者:生田久美子、共訳者:大岡一亘、奥井現理