本報告は読売新聞の家庭欄の記事分析を通じて、近代日本において既婚女性による手作りの食事作りを「愛情の証」と見なす解釈枠組みがいつ頃成立したか、その解釈枠組みを支えたのはどのような論理だったのかを明らかにした。また「手作り料理=愛情」という図式の定着が、家事に求められる水準の上昇と表裏一体となって、1970年頃に進行した点を明らかにした。