延期決定後2024年度の大学入試で、英語4技能評価の導入によって最も影響を与えるのはスピーキング試験であろう。入試は図らずとも受験生の学習に大きな影響を及ぼすため、試験の波及効果の検討は不可欠である。本研究は、33名の高校生に同一の全体的評価基準に基づく対面式試験と非対面式試験を受験してもらい、(a) 2つの試験のスコアの一致度を確認した上で、(b) それぞれの試験が受験者の情意面に与える影響の相違を検討した。その結果、2つの試験のスコアはほぼ一致するものの、非対面式試験のほうが有意に高いことが示された。一方、受験者は対面式試験のほうが、「好きだ」「おもしろかった」「形式に慣れている」「よくできた」と感じていたことが明らかになった。学習行動に対する波及効果は対面式試験のほうが望ましいものが見られる一方、学習者は対面場面におけるスピーキングパフォーマンスを過大評価する可能性が示唆された。